『幻影城の時代 完全版』2008-12-30 Tue 01:21 ![]() 本多正一編、講談社BOX プロデュース 『幻影城の時代 完全版』 講談社 定価:5800円(税別) ISBN978-4-06-215144-3 C0093 「幻影城の時代」の会編(同人誌版)『幻影城の時代』(エディション・プヒプヒ発行、2006)に、栗本薫「幻影の党派」(初出『幻影城』1978年5月号)と堊城白人「蒼月宮殺人事件」(初出『幻影城』1978年1月号)を加え、これにブックインブックのかたちで「復活版 幻影城」、すなわち『幻影城 2009年1月号 No.54 特集「幻影城」作家書き下ろし競作』を組み込んだ完全版。 『幻影城』自体、埋もれていた本格ミステリに再度脚光を浴びせると同時に、新作を提供するというコンセプトを基につくられた雑誌であったから、単なる回顧や資料の目的にとどまらず、書き下ろしを加えたことは、『幻影城』のコンセプトにも沿うものであり、完全版の名前に値する内容となっている。 『幻影城 2009年1月号 No.54 特集「幻影城」作家書き下ろし競作』では、連城三紀彦による花葬シリーズ「夜の自画像」、田中芳樹「男爵夫妻の話」、栗本薫による伊集院大介シリーズ「誰でもない男」、泡坂妻夫「敷島の道」と「丸に三つ扇」、田中文雄「走屍の山」、友成純一「夢を見た怪物」、竹本健治「匳の中の失楽」といった新作が収録され、本多正一による特集「いかにして『匣の中の失楽』はつくられたか」では、『匣の中の失楽』のプロトタイプ「静かなる祝祭」と「人形館殺人事件」が新資料として紹介され、さらには『匣の中の失楽』ノートから双葉文庫版とは異なる頁が紹介されるのである。これは、本多による次の仕事『豪華本 匣の中の失楽』(南雲堂より20XX年刊行予定)の前哨戦であろう。 まず、「匳の中の失楽」であるが、この作品は『匣の中の失楽』の後日譚ではなくて、サイドストーリーである。短編ではあるが、『匣の中の失楽』を連想させるところがある。それが何のせいなのかは、読んでみてのお楽しみということにしておこう。 『匣の中の失楽』の原型となった「静かなる祝祭」に出てくる登場人物は、当時の竹本の身の回りの人々である。無論、「静かなる祝祭」は、フィクションなので、実在する人とはまったく関係がないのであるが、とりあえず実在の人物名が使われている。その後、「人形館殺人事件」になると、実在の人物名は抹消され、はなはだ技巧的な、現実ではありえない人工的な名前に置き換えられる。つまり、登場人物は、あたかも人形であるかのように姿を変える。もしも、『匣の中の失楽』で、実在の人物名が使われていたとしたら、ひょっとしてウロボロスの第0作というべき作品になっていたのではないか、とふと思ったのであった。 兎に角、竹本ファンにとっては、本書は必読必携の一冊というべき書物であり、本書に盛り込まれている内容からすれば、5800円(税別)という価格は、非常に良心的な価格のつけ方といえる。 ちなみに、私は保存用と読む用の2冊を入手した。保存用には6名の直筆署名が……。 ![]() スポンサーサイト
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「闇に用いる力学 黄禍篇」(連載2回目)2008-12-30 Tue 00:21 |
『作家と遊ぼう!ミステリーカレッジ メモリアルブック』2008-12-30 Tue 00:12 ![]() 社団法人日本推理作家協会 『日本推理作家協会60周年記念 作家と遊ぼう ミステリーカレッジ メモリアルブック (角川文芸ムック64)』 角川書店 定価1500円(税別) ISBN978-4-04-885006-3 2008.11.11に、立教大学で行われた日本推理作家協会60周年記念のイベント「ミステリーカレッジ」の記録。 52~53頁に、囲碁をしている竹本健治氏の姿がちらり。 我孫子武丸氏による企画・脚本による自主制作ビデオ「消えた理事長」(撮影・編集は京極夏彦氏)に、ちょっとだけ出演(109頁)。 というか、この「消えた理事長」、数多くの作家に出演してもらうのが第一目的であるためか、出てくる作家は誰もがちょっとだけセリフをしゃべっては、早々に画面から消えてゆくというもので、ちょっした余興、ファンサービスとしてみるべきなのだろう。 |
2008年12月15日(月)復活版『幻影城』刊行予定2008-12-02 Tue 00:18 「幻影城の時代」の会編 『幻影城の時代』(エディション・プヒプヒ発行)が、大幅な増補・改訂を経て、講談社BOXプロデュースで甦ります。 この復活版『幻影城』では、ブックインブックのかたちで、『幻影城 2009 JAN.No.54』が収録されます。 収録される竹本健治作品は、以下の通り。 (1)『匳(こばこ)の中の失楽』……『匣の中の失楽』のサイドストーリーです。 (2)『静かなる祝祭』……『匣の中の失楽』の原型をなった作品です。 (3)『人形館殺人事件』……『匣の中の失楽』の成立過程を知る上で、貴重な資料です。 (4)『匣の中の失楽』創作ノート……双葉文庫版『匣の中の失楽』の巻末に収録された創作ノートが、再掲載されます。 (5)「匣の中の失楽」のころ…… エディション・プヒプヒ版『幻影城の時代』に収録されたエッセイです。 |
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